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「まぁ、一番の理想は、私が最後に残ってノートを手にする権利を破棄する事だったのだけどね…。
だが…全員が死ぬ事で約束が果たされるとは……。
存在すべきはないモノを手にした人間は、それと共に存在すべきではないモノになってしまうのかね。」
「……何を…言ってる?」
「…ん?要するに、デスノートという人間界に存在すべきでないモノを手にした人間―」
「違う!…その前だよ!全員死ぬって…!?」
確かに源次郎はそう言った。
死ぬのは全員…参戦者全員だと。
「あー…、まだ言ってなかったかな。
死ぬのだよ。君も。」
「死ぬ…?俺が…?」
「そうだ。」
「ハハッ……何を言っている!
死ぬのはあんただ!!」
「いや、君もだよ。
デスノートに、君の名前が書かれているのだから。」
源次郎が言葉を重ねる度に恐怖が襲って来る。
だがそれをすぐに追い払う。
それはそう難しい事じゃない。
何故なら確信があるから。
デスノートに自分の名前は書かれていないと。
「…それはない!
しっかり監視させてた…。
三人の犯罪者を潜入させて、あんたを監視させてたんだ!」
宗司は念には念をいれてそれをしていた。
梶の参戦者リストを見て、常座源次郎という人物を知った時から。
「ああ。そうみたいだね。
そう言う報告を聞いていたよ。」
「…だろうな。この病院があんたの物なら、バレていたって事だ。
…だが、デスノートに俺の名前が書かれる様な事はしていなかった!」
「そうだよ。私は書かなかった。
…分かるはずだ、君なら。誰が書いたのか…。」
誰が自分の名前をデスノートに書いたのか…。
…だが思い付かない。
今まで全てが完璧だった。だからここまで来れた。
それがここに来て、そんな事を言われても全くの検討がつかないのだ。
「難しく考える必要はないよ。」
そんな宗司の心情を悟ったのか、源次郎がアドバイスをするかの様に言いだした。
「思い出してごらん…。最近、自分の名前を書いた覚えはないかい?」
「……?
………!
……!!!!
あの…時…!」
覚えている…。鮮明に。忘れるはずがない。
ついさっきの出来事なのだから。
いや、それだけじゃない。
その時トラブルも起きていた。
だからこそ鮮明に記憶しているのだ。
それと同時に絶望が押し寄せて来る。
もうどうしようもない…。
俺の死は決定付けられた。
「…その様子だと、全てを理解したみたいだねぇ。」
「……俺が名前を書いた紙は、デスノートの切れ端だった…。
ここはあんたの病院だ。その後に俺の死因など、病院の誰かに書かせる事だって出来る。
…これで、誰もデスノートを手に入れずにこのゲームは終わるわけだ。」
死神大王が望んだ通りになった。
さらに、死神達や自身の暇潰しにもなり欲求は満たされたはず。
人間はいい様に使われたのだ。
死の神とは言え、やはり神に変わりはない。
人間は、神には逆らえないと言う事か…。
「以外とスッキリした顔をしてるね。」
源次郎が言う様に、これから死ぬと分かっている人間のわりには、宗司の顔は晴れやかだった。
「そうか…?
これでも絶望ってやつをかなり感じたし、やっぱり死ぬってのは嫌だな。
…けど確かに、妙なスッキリさはある。
多分、あんたのやり方に感服してるのかもな。
自分でノートに名前を書いて負けるなんて、考えもしていなかったよ。
……で、俺はいつ死ぬ?」
「…後、10分ってとこかね。」
「死因は?」
「この病院から飛び下りて…。
だが、苦しむ事なく即死としておいたよ。」
「…親切なのか残酷なのかわからないな。」
「ハハハッ。」
これから死ぬ者同士とは思えない穏やかさが、この二人にはあった。
「…そうか、10分か。
じゃあ、あんたの方が先に死ぬな。」
「おお、そうかい。優勝おめでとう!」
そう言いながら源次郎は手を叩く。
「何だよ、それ。全く嬉しくないね。」
すると、宗司は源次郎に背を向け扉の前に立った。
「…まぁ、最後の相手があんただったのは嬉しかったかな。」
そう言うと、軽く手を振り部屋を後にした。
「…私はこんな所で君に会いたくなかったよ。
もっと早く……君とは長く…戦って……いた…かっ……た……――。」
page.77「終戦」へ続く・・・
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