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「…私の名前を書くのか?」
「ああ、そうだ。」
そう言うと宗司は、何のためらいもなく常座源次郎とデスノートに書き込んだ。
源次郎はその様子を見ていたが、これと言って何か抵抗するわけでもない。
もちろん宗司としては願ってもいない事。
これならば聞きたい事がすんなりと聞ける。
その為に死まで、数分の猶予を与える書き方をした。
「…あんたが凄い存在って事は分かった。
けど俺の知らない世界だし、正直あまり実感はない。
…まぁ、だからってわけじゃないが、そんな事は俺にはどうだっていい。
聞きたい事はただ一つ。
何故あんたはこのゲームに参加した?」
その疑問は、源次郎が裏社会のボスだったと知った事でさらに強まっていた。
ゲームに勝利して、デスノートを手に入れた所で源次郎には何の得もない。
ボスだったのならば、その力を利用する事で大概は思い通りになるはず。
それに先の長い命でもないはずなのに…。
それにもしこれが今後の組織の為であるなら、もっと部下を使うはず。
それをこうやって、一人で挑んでいるのは…何故だ?
「単にデスノートを自分の物にしたかったからか?」
「…いや、それは違う。
私が参加した理由は、このゲームを終わらせる為。
誰もノートを手にする事なくね…」
「…!?
…それは…お前もか?」
「そう。こうして残った、私も君も。」
「…ハハっ!何を言っている!!
要するにこうか!
自分以外をすべて始末して、ノートを手にする権利も破棄すると!」
…相変わらず、目的の分からん奴だ。
考えとしては、梶に近いものなのか…?
残り少ない命を、良い事に使おうとでも思ったのか…。
しかし宗司のその考えとは、全く違ったものが裏に隠されていた。
「私の命が残り少ないのも明白だろう。
だから簡潔に話す。質問は無しだ。」
そう言って源次郎は話を切り出し、その後とんでもない話をしだした。
「私の目的の根源には、死神大王が関わっている。」
「死神大王!?
…って、確か死神の頂点に立つ者。」
「そう。そいつに頼まれたのだよ。
誰もノートを手にする事なく、このゲームを終わらせてくれと…。
どうやら今以上の数のデスノートを、人間界に与えるのは多くのバランスを崩すそうだ。
しかしこの様な事態を起こしたのは、今まで少しで止どまっていた死神の欲求が異様に膨れ上がった為。
そうなれば、大王権限で死神達とデスノートを死神界に戻させても、死神達の欲求は収まらず他の問題を起こしかねない。」
「……それを避ける為に、あんたにそんな事を頼んだのか。
…裏社会の頂点に立っていたあんたに。」
裏社会で頂点に立っていた者なら、その力を利用しこのゲームに勝利する事も可能性としては高い。
死神大王は、それを考えていたのかもしれない。
「しかしあんたも、よくそんな話に乗ったな。」
「んー…なんでだろうねぇ…。
残り少ない命だ。最後に一仕事したかったのかもね。
けど良かったよ。君は理解が早くて。」
源次郎がそう言う様に、とんでもない内容だが宗司の中での理解は早かった。
いや、理解と言うよりは受け入れる事が出来ただけかもしれない。
宗司にしてみれば、話半分に聞くだけで良かったのだ。
それは単に、どんな内容であり宗司の勝ちに変わりはないからだ。
裏社会だか何だか知らないが、そんな所の頂点に立ってれば自分が凄い奴って思うよな。
現に死神大王に頼まれた事を、こうやって実行してるわけだし…。
それって自分が、それをこなせる力があると思ってるからだろ?
…だがそれも勘違いだったわけだ。
俺みたいな単なる高校生にデスノートを奪われ、自分の名前を書かれちゃう様な奴だし。
確かに宗司の考え通りならば、明かされた真実がどんな内容であってもなんの問題はないし、源次郎は大きく自分を勘違いしている事になる。
宗司の考え通りならば、デスノートに名前を書かれた源次郎が死ねば、残った宗司が勝者となる。
……そう。
デスノートに書かれた名前が……源次郎一人であれば…。
page.76「敗者」へ続く・・・
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