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「待っていたよ…。」
その老人は、しっかりとした顔つきでベッドに座りながらそう言う。
それはゆったりと、微かに枯れた声だった。
それでも少し大きく聞こえたのは、ここが病院でさらに個室だったからだろう。
こいつが常座源次郎。
リストに載っていた写真と同じだな。
宗司は梶の参戦者リストにあった、常座源次郎の顔写真を思い出して間違いが無い事を確認する。
「待っていた……。それは自分の敗北を、か?」
「はっはっは!面白い子だねぇ、君は。」
宗司の返しがホントに面白かったのか、源次郎は体を震わせながら笑っていた。
病人とは思えない程の表情に、宗司は少し戸惑う。
自力で歩く事は出来ないという梶の調べから、座る事もままならない御老体かと思っていた。
…いや、確かにそうなのかもしれないが、それを感じさせない元気がある。
これは死を目の前にして開き直っているのか…。
それとも死を恐れていないのか。
老人が病気で入院なんかしても、以外と元気だったりするらしいが、それと同じなのかもしれない。
だがそれは疑問視する程の問題じゃない。
元気だろうと、元気じゃなかろうと関係のない事。
「そうやって笑っていられる状況なのか?」
その宗司の問い掛けに、源次郎は少し考え込む。
「…ん、それはどういう事かな?」
「こういう事だ。」
宗司はそう答えると同時に、手に持っていた紙袋から黒いモノを取り出した。
「それは…デスノートかな?」
その黒いモノは、参戦者なら誰でも分かるノート。
参戦者の一人である源次郎ならそれに気付くのは容易だった。
しかし、それでも気付かない事があった。
「そうだよ。これはデスノート。……あんたのな。」
「…!?私の……?」
源次郎は気付かなかった。
見せられたノートが自分の物だと。
だが、ハッタリの可能性もある。
見せているノートは本当は宗司の物だという可能性が…。
page.73「逆転」へ続く・・・
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