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「さ、金を渡してもらおうか?」
「…はい」
と、ナイフを向けられながら浦賀は財布の所まで移動し、中から現金を取り出す。
その額は計一万円。
「おい、たったこれだけか!?」
「あ…はい。」
「ふざけんな!こんな高級ホテルに泊まる奴がこれっぽっちなわけないだろ!」
先程は持ってる額が少なくて安心をしていたが、それが逆効果になってしまったようだ。
「…ああ、そうか。カードか」
ナイフを持った強盗犯はそう呟くと浦賀から財布を奪い取った。
しかし目的の物も見つからず、それにイラつたのか財布を乱暴に投げ捨てた。
「おい!通帳か、なにかあるはずだ」
そう言うとナイフの強盗犯は仲間の一人に探すように指示を出した。
デスノートを持つ者としては、奴等のこの行為は好ましくない。
それは、デスノートと言う物をそう安々と見せる物ではないからだ。
しかし今の浦賀にその心配はない。
何故なら肌身離さず体にノートを身に着けているからである。
だがそれは、浦賀が記憶を失わないための行為ではない。
所有権を放棄するとデスノートを使った事、デスノート自体の記憶が失われるが、それはデスノートを使用した人物にのみ適用される。
デスノートを使用していない浦賀には意味のない事なのだ。
だからこそ、女子高生二人や藤吾に軽々とノートを使わせる事が出来る。
さらに、そうする事で使わせている人々を本当の所有者…ゲーム参戦者と勘違いさせる事が出来、他の参戦者が狙ってきても裏を返す事が出来る。
だがデスサバイバルが最終局面へと動き始めた今、軽々とデスノートを他の者に使わせるのは危険と判断し、浦賀自身が持つ事としたのだ。
そのおかげでこの状況から、デスノートを守ることが出来ている。
むしろ今心配しているのは通帳の中身である。
それは奴等が通帳を見つけて記載されている数字をみたら、また怒りだす可能性があるからだ。
その額が財布の中身以上の少なさなら尚更だ。
だが、実際に通帳を見つけた強盗犯の反応はそうでなかった。
「…こいつらダメだ。金なんて持ってないな。」
その反応は金の少なさに呆れている様であった。
だがもう一人はそうもいかなかった。
「おかしいだろ!?こんな所に泊まる奴がこんなしょぼいわけないだろ!?」
そう言ってナイフを浦賀の首元へ向ける。
「なぁ、もしかして体の何処かに隠してるんじゃないか…?」
その言葉を聞きいた途端、浦賀は自分の背筋が凍るのを感じた。
別に犯人の言うように金を隠しているからではない。
デスノートを隠し持っているからだ。
先程は隠し持っている事で難を逃れたと思ったが…。
クソォ…どうして全てが裏目に出るんだ…!
強盗犯は浦賀の体を触って何かないか確認する。
デスノートに気付かれるのも時間の問題だ…!
バレるだけならまだしも盗られては堪らない。
いざとなれば力づくでこいつらを何とかするしかないなが……。
こんな時に限って藤吾は……。
自業自得とはいえ…まぁ、それでも状況を察して少なからず役には立ってくれるだろう。
そして案の定、デスノートの存在に気付かれてしまった。
財布の中身でも、通帳でもない、今一番守るべきものに…。
page.63「化物」へ続く・・・
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