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「ここの公衆電話だな。」
一輝は宗司に教えられた場所を改めて確認し、電話をかける。
その様子を、少し離れた場所にあるコンビニから宗司は見ていた。
だが宗司が見ているのは、一輝だけではない。
宗司より少し一輝に近い場所にいる人物…野二瀬藤吾も視野に入れていた。
やはり一輝を監視していたか…。
その藤吾は一輝を監視しながら携帯電話で話をしている。
……相手はゴースト…だろうな。
ま、そうでなければ困るのだけど。
すると一輝が電話BOXから出てきた。
それと同時に梶から電話が来る。
「宗司、藤吾は?」
「いる。一輝の後を付いて行くみたいだ。俺も行くよ…。」
「…待った。」
そう言って急に梶は電話を繋げたまま黙ってしまった。
しかし微かに話し声が聞こえる。
「とぼけても無駄だよ。」
しかし、聞こえた声は梶ではなかった。
「小中一輝と繋がりがあるのは知っている。君が警察である事も。」
…!
ゴースト?
「梶さんゴーストから電話がきたのか!?」
「ああ。スピーカーにしてあるからお前にも聞こえるだろ?
俺は何とか話を引き伸ばす。君は藤吾を追ってくれ…!」
「分かった!」
…よし。
計画通り!!
梶が神薬に一輝が警察と関わりがあると藤吾に伝えた事で、ゴーストは一輝に再び注目しだす。
そうなればゴーストが一輝と関わりがある警察を、探し続けていた参戦者だと結び付けるのは容易だ。
その状況で一輝にこの行動をさせる。
そうすれば、今時の高校生が公衆電話を使う事に疑問を感じて誰と電話をしていたか気になるはず。
今のゴーストには神薬の信者を自由に使える…。
あれだけの信者がいれば幅広い職業に就いているだろうし、教祖…神薬の頼みとなれば法だって犯す可能性はある。
ゴーストはそれを利用して、一輝がどこに電話をしていたか…。その持ち主は誰か…。すぐに調べるはずだ。
慎重ではなく臆病なゴーストなら、自分に勝ち目があると分かった瞬間一気に突っ走って来るだろう。
そういう時こそ慎重さが必要だが、ゴーストにそれは出来ない。
だからこそ、こうやってすぐにでも電話をしてくる。
ゴーストにしてみれば、いち早く決着を付けたいだろうしな。
そして全て予定通り。
今ので藤吾を見失ったのは予想外だが、まだそう遠くに行ってはいないはず。
夕方という時間帯で多くの人がいるが、藤吾を見つけられる自信があった。
藤吾は一輝をつけているはずで、そこを集中して見ていれば見つけるのは容易だ。
多くの人がいるからといっても、誰かを監視しながら動く人はそういない。
故にそういう人を周りから見れば特徴的で分かりやすい。
もちろん、この様な尾行をその道のプロがやったとしたら見分けるのは難しいだろう。
だが先程、一輝を尾行する藤吾を見つけた時、その心配は無くなっていた。
あれはプロでもなんでもない。
だからといって、ここにいる多くの人が藤吾の尾行に気付くわけではないだろう。
一輝を尾行している人物を探す、という強い意識をする事で気付くものだ。
この時ばかりは、他人には無干渉な今時の人間に感謝を述べたい宗司であった。
こうして藤吾を探し出し、今電話をしていなかったら……藤吾はゴーストじゃない!
page.56「延長」へ続く・・・
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